解析の基本概念
ソフトウェアは有限要素法(FEM)を使用しています。FEM は、エンジニアリング設計の解析をするにあたっての数値的解析手法です。FEM は、コンピュータ上で実行できる一般性や安定性が評価され、標準的な解析手法として受け入れられています。この手法では、モデルを要素と呼ばれる多数のシンプルな形状に分割し、複雑な問題を多数のシンプルな問題を同時に解くことで置き換えます。

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部品のCADモデル
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小ピースに分割されたモデル (要素)
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要素は、節点と呼ばれる共通のポイントを共有します。モデルを小さい部分に分割するプロセスをメッシュ作成と言います。
各要素の動きは支持(拘束)や荷重の下で計算されます。有限要素法では異なる要素が使用されます。
各要素の位置は要素節点の動きから計算されます。各節点は解析の種類や使用する要素のパラメータによって定義されます。例えば、節点の温度は熱解析の応答から定義されます。構造解析では節点の応答は、3 つの並進成分と 3 つの回転成分から定義されます。これは、「自由度」(Degrees of freedom (DOFs))と呼ばれています。有限要素法 (FEM) を使った解析を、有限要素法解析 (FEA) と呼びます。

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四面体要素: 赤い点は、節点を表しています。要素のエッジは、曲線でも直線でも構いません。
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ソフトウェアは、各要素の運動を隣接する要素の運動を制御し方程式を定式化します。これらの方程式は、既知量である材料特性、拘束、荷重条件と応答を関連づけるものです。
次に、方程式を、並列に実行する大規模な代数方程式セットに組み立て、計算を行います。
応力解析では、ソルバは各節点変位を計算し、その後、ひずみを計算、最後に応力を計算します。
ソフトウェアでは、以下のスタディ タイプがサポートされています:
静解析を使用し、大きな応力によって破壊するような設計を変更することができます。安全率が 1 の場合、材料は破壊します。ある連鎖領域で応力が低く、大きな安全率を示している場合、その領域では材料を減らすことができます。
理論的には、物体は無限のモードを持っていることになりますが、FEA には、自由度 (DOF) の数だけモードが存在するという理論があります。一般には、2、3 のモードだけに注目します。
ある物体が、その物体の持つ固有振動数と同じサイクル数の強制振動を受けた場合、激しく応答します。この現象は、「共振(resonance)」と呼ばれています。例えば、タイヤのバランスの悪い自動車は、あるスピードで激しく揺れ、その他のスピードではそんなに揺れを感じないばかりか発生しない、というような現象に相当します。その他、オペラ歌手の大きな声 (音) なども 1 つの例で、グラスでさえも壊わしてしまうかもしれないのです。
固有値解析は、共振に伴い生じる過剰応力による物体の破損を検証するために役立ちます。また、動的応答問題を解決するための情報を提供します。
線形動解析スタディは固有値解析スタディに基づいたものです。ソフトウェアは、それぞれのモードの影響を荷重環境に累積することにより、モデルの応答を計算します。ほとんどの場合、低いモードのみが応答に対して顕著に影響を与えます。モードの影響は、荷重の固有値内容、大きさ、方向、所要時間、および位置に依存します。
動解析の目的には次が含まれます:(a) 動的環境において問題無く機能する構造システム/機械装置の設計と (b) 振動効果の減少
座屈解析は座屈による破損を検証するのに役立ちます。
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熱伝導解析(Thermal)スタディ:発熱、熱伝導、熱流、輻射から、温度分布、温度勾配、熱流速を計算します。熱伝導解析は過熱および融解のような不適当な熱条件を回避するために使用します。
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デザイン スタディ(Design Studies):最適化デザイン スタディは幾何形状の最適な形状を自動的に計算して求めます。ソフトウェアは、すばやく傾向を検知し、最小の実行回数で最適解を求めます。最適化デザイン スタディでは、以下の条件を定義する必要があります:
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ゴール、または目的(Goals or Objectives):解析の目的を設定します。例えば、最小重量などを設定します。
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設計変数(Design Variables):範囲を変更し設定することができる寸法を選択します。例えば、穴の直径は、0.5 から 1.0 までの範囲とし、スケッチの押し出しは 2.0 から 3.0 までの範囲と設定することができます。
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制約条件(Constraints):最適設計が満たすべき条件を設定します。例えば、指定されたある値を超えないようにする、または固有値の周波数範囲をある範囲内に限定する、などです。
注記: 非最適化デザイン スタディでは、ゴールを定義しないでください。
非線形解析スタディは、非線形構造解析スタディです。熱伝導解析の場合、ソフトウェアは、材料特性、熱拘束および熱荷重に基づいて、線形または非線形の問題を自動的に解決します。
非線形の問題を解決する場合、類似の線形静解析の問題を解決する場合と比較して、より多くの時間とリソースが必要になります。
非線形解析には、重ね合わせの原理は適用されません。例えば、ある点において力 F1 をかけると応力 S1 が生じ、力 F2 をかけると応力 S2 が生じる場合、これらの力を同時に載荷しても、線形解析の場合のように同じ点において応力 (S1+S2) が生じるという現象が必ずしも見られるわけではありません。
非線形解析は、静解析や座屈解析の限界値を超えるデザインを対象に、その動作を評価するのに役立ちます。
静解析は、大変位(Large Displacement)オプションを有効にしたときに生じる接触の問題を非線形に解析します。
解析が完了したら、変位、速度、加速度、ひずみ、応力をプロットし、グラフ化できます。