等方性材料と直交異方性材料
等方性材料
あらゆる方向に同一の機械的あるいは熱的特性を持っている場合、その材料は等方性材料といいます。等方性材料は、等方性、または厳密にはわずかに等方性ではない特性をもつことができます。例えば、厳密にはわずかに等方性とはいえませんが、鋼は全ての方向に同一の特性を示します。
直交異方性材料
機械的あるいは熱的な特性が直交する 3 方向でそれぞれ特有である場合、その材料は直交異方性材料です。直交異方性材料の代表的な例には、木、水晶、圧延材などがあります。
例えば、ある点における木の力学特性は、縦方向、放射方向および正接方向で表されます。縦の軸 (1) は繊維方向と平行で、放射状の軸 (2) は年輪に垂直、接線の軸 (3) は年輪への接線です。

固体の直交異方性特性の定義
構成部品全体の直交異方性材料の方向は、選択した参照ジオメトリに基づいて定義されます。部品がこのように製造されていない場合、直交異方性材料の方向を正しく定義するために別の部品としてモデルを作成する必要があります。たとえば、下図のような部品について考えます。

この部品は円筒および平面の2つの部品としてモデルを作成する必要があります。その後、平面の直交異方性材料の方向を定義する参照ジオメトリとして面を使用でき、また円筒の参照ジオメトリとして円筒の軸を使用できます。

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参照ジオメトリとして面が使用されている場合の、直交異方性材料のX、Y、Z方向。
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参照ジオメトリとして軸が使用されている場合の、直交異方性材料の半径方向(X)、正接方向(Y)、軸方向(Z)。
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シェルの直交異方性特性の定義
平面シェルの場合は、参照ジオメトリとしてシェルに平行している面を選択します。XおよびY軸は面の上に位置し、Z軸は面に垂直方向です。円筒シェルの場合は、参照ジオメトリとして円筒の軸を選択します。Y 軸は円筒の軸に対して平行、X 軸は正接方向です。

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平面シェルの直交異方性材料のX、Y、Z方向。
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円筒シェルの直交異方性材料のXおよびY方向。
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複合シェルでは、直交異方性材料を定義するための X、Y、Z 方向は、層角度に依存する各層に異なって定義されます。参照ジオメトリは直交異方性材料の定義に考慮されません。
通常、本ソフトウェアでは参照ジオメトリを次のように修正します。
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本ソフトウェアは、Z 軸がシェルの面に垂直方向となるよう参照ジオメトリの定義する座標系を変換します。シェルの面は、3つのコーナー節点により定義されます。
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選択した参照ジオメトリのX軸とシェル面の垂直方向との角度が45o以上であった場合、プログラムは修正されたX軸を定義するために参照ジオメトリのX軸をシェル面に投影します。
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選択した参照ジオメトリのX軸とシェル面の垂直方向との角度が45oより小さい場合、プログラムは修正されたX軸を定義するために参照ジオメトリのY軸をシェル面に投影します。
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次に右側の直交座標系を完成するために、修正された参照ジオメトリのY軸が定義されます。
直交異方性材料を定義するには: