応力ホット スポット(Stress Hot Spot)診断ツールは、隣接要素間の応力勾配が不規則なモデルの領域を検出します。 これらの不規則な高い応力勾配は、応力特異点に起因している可能性があります。
応力ホット スポット機能は、固体およびシェル メッシュ要素を使用する線形静解析スタディでのみ利用可能です。
応力ホット スポット診断ツールは、隣接要素間の応力勾配が不規則なモデルの領域を特定します。 不規則な応力勾配になる原因は、応力特異点である可能性があります。
応力ホット スポット(Stress Hot Spot)診断ツールがリーディング エッジ周辺の不規則な応力勾配を検出すると、メッシュをローカルに調整し、応力特異点検出を実行するようにプロンプトが表示されます。
応力特異点の概念は数値解析にあり、特異点に無限の応力はないため、物理的意味はありません
応力ホット スポット診断ツールは、次のケースで不規則な応力勾配を検出します。
- 鋭角の形状エッジ近く、およびソリッドおよびシェル ボディのコーナー。
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(A) フィレットが適用されない鋭角エッジの応力特異点。 共通の鋭角エッジでの形状平面間の角度は、0º~360º の範囲にあります。 |
(B)応力ホット スポット診断ツールは、コーナー(内部および外部)の応力特異点を検出できます。 これらのコーナーは、0º~360º の範囲の角度にあります。 |
- 適用した境界条件で、ボディが荷重環境において自由に膨張(または収縮)することを制限されている領域。 現実の世界では、「無限に硬い」サポートまたは拘束は存在しないことを覚えておいてください。
- 荷重/拘束が適用されている、または急激な境界条件のトランジションが発生したソリッドのジオメトリ エッジ(非常にリジッドなものからフレキシブルなものへ)。
- 点荷重および点拘束が適用されている頂点の周り(ソリッドまたはシェル上)。
接触する領域では、応力ホット スポットは検出されません。
応力ホット スポット(Stress Hot Spot)診断を開くには:
- 結果(Results)
フォルダを右クリックし、応力ホット スポット診断(Stress Hot Spot Diagnostics)をクリックします。
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感度ファクター |
各ボディの最大相当ひずみに対する相当ひずみの大きさに基づいて、応力ホット スポット診断に関わるエレメントをフィルタします。 高い感度ファクターには大きいひずみを含むエレメントがより多く含まれ、複数のボディで複数の応力ホット スポット領域が検出される可能性があります(計算時間がより長くかかります)。
たとえば、感度ファクター 60% の場合、ツールには各ボディの最大の等価ひずみの上位 60% 内に該当する要素が含まれます。
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節点値 |
選択した場合は、節点または要素 von Mises 応力の輪郭プロットにおける応力ホット スポットを表示できます。 要素プロットには、各要素に 1 つの応力値が表示されます。 節点プロットには、各節点に 1 つの応力値が表示されます。 |
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応力ホット スポット診断実行 |
応力ホット スポット診断ツールを実行します。 応力ホット スポットが検出されると、次のステップでは von Mises 輪郭プロットのホット スポット領域がグレーに色付けされて表示されます。 で、応力ホット スポットをレンダリングするのに、デフォルトのグレーと異なる色を選択できます。 応力ホット スポット(Stress Hot Spot)プロットのチャートに表示される最大応力値は変更できません。 応力値が最大応力値より高いモデルの領域は、ソルバによりグレーでハイライト表示され、応力ホット スポットとしてフラグを立てられます。
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応力ホット スポット表示/非表示 |
von Mises 輪郭スポットの応力ホット スポットの表示設定を切り替えます。 |
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応力特異点表示/非表示 |
応力特異点診断を実行するとき、von Mises 輪郭プロットの応力特異点の表示を切り替えます。 |
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応力ホット スポット隔離 |
応力ホット スポット領域の要素のみをレンダリングします。 残りのモデルは、透明モードで表示されます。 プロットの凡例では、解析で考慮される感度ファクター、応力ホット スポットとしてフラグが立てられる要素の数、および応力ホット スポットとしてフラグを立てられる要素の比率を表示できます。
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応力特異点隔離 |
応力特異点診断を実行するとき、応力特異点の原因となっているリーディング エッジの要素だけをレンダリングします。 |
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プロット収束グラフ |
応力特異点診断を実行するときに利用できます。 正常にメッシュ リファインできたリーディング エッジで観察された最大 von Mises 応力をプロットします。 発散 von Mises 応力値は、応力特異点を示します。 たとえば、プロットでは 4 つのリーディング エッジの 3 つのメッシュ リファイン レベルにわたる発散 von Mises 応力が示されます。 これらのエッジは、ローカル応力特異点の原因です。
フィレットで鋭角を丸め、応力特異点の発生を回避することを検討してください。
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応力特異点の検出(低速)
応力ホット スポット診断ツールが不規則な高い応力勾配のモデルの領域を検出したときは、ホット スポット領域の選択した形状エッジにローカル メッシュ リファインを適用し、これらの鋭角エッジが応力特異点の原因になっているかどうかを確認できます。
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メッシュ リファイン レベル |
メッシュ リファイン レベルを設定します。 レベルは 2 つ、または 3 つです。 |
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複数レベル間の要素サイズの減少率 |
メッシュ リファイン レベルにわたるメッシュの減少率を設定します。 メッシュ リファイン詳細(Mesh Refinement Details)テーブルの各リファイン レベルに対して計算されたメッシュ サイズを参照してください。 また、各リファイン レベルのメッシュ サイズ値を入力することもできます。 選択した形状エンティティの場合、含める(Include)のチェック ボックスをクリアし、メッシュ リファイン レベルにわたる目的の要素サイズを入力します。 |
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要素サイズ増加比率 |
メッシュ レイヤー間の要素サイズ増加比率を設定します。 エッジのメッシュ作成時に使用されるメッシュ要素平均サイズを(e)とし、要素サイズの増加比率を(r)とすると、エッジから放射するレイヤーでの平均要素サイズは次の通りです。 e, e*r, e*r2, e*r3, ...., e*rn. |
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メッシュ リファイン詳細 |
ローカル メッシュ リファインが適用されたエッジを表示し、応力特異点診断の実行時にローカル応力特異点を検出します。 モデルでハイライト表示するエッジを選択します。
現在のメッシュ サイズおよびリファイン レベルにわたるメッシュ サイズがリストされます。 ソリッド ボディの鋭角にあるエッジだけを、応力特異点診断の対象と見なすことができます。 |
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オリジナルのメッシュ設定でスタディを復元 |
応力特異点検出を実行するとき、プログラムはオリジナルのメッシュ要素サイズを現在のメッシュ値として保持します。 |
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最終レベル設定で既存のメッシュおよび結果を上書き |
応力特異点検出を実行するとき、最終リファイン レベルのメッシュ サイズは現在のメッシュ サイズになります。 応力特異点診断のプロットは、最終メッシュ レベル設定に基づきます。
最終リファイン レベルは、メッシュ(Mesh)のスタディ ツリーにあるメッシュ制御定義に保存されます。
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応力特異点診断の実行 |
応力ホット スポット診断に続けて、応力特異点診断を実行できます。 プログラムは、応力ホット スポットが検出されたモデルの形状エッジを検出し、ローカル メッシュ リファインを適用して応力特異点を特定します。 新規メッシュ リファイン レベルを設定することで、リーディング エッジのローカル メッシュをさらにリファインすれば、応力特異点診断を再実行できます。 |
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応力ホット スポット プロット。 応力ホット スポットとして特定された領域の要素は灰色で表示されます。 要素上で調査されたアノテート アイテムに、値(Value)の応力ホット スポット(Stress Hot Spot)文字列が表示されます。 |
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応力特異点分離プロット。 要素上で調査されたアノテート アイテムに、値(Value)の応力特異点(Stress Singularity)文字列が表示されます |