形態係数(形状係数または構造係数ともいう)は、輻射による熱伝達に直接的な役割を果たします。2 つの小さい領域 A
i と A
j の間の形態係数 F
ij は、領域 A
j によってさえぎられる領域 A
i からの輻射の分数として定義されます。言い換えると、F
ij は A
i から A
j がどの程度見えるかということを表します。形態係数 F
ij は、小さい領域 A
i および A
j の向きとそれらの間の距離によって変わります。
2 つの極小表面
dAi
と
dAj
の場合は、形態係数
dFij
が次の式で与えられます:
ここで、Θ
i と Θ
j は領域の単位法線と 2 つの領域を結ぶ直線
Rij
の単位法線の間の角度です。2 つの領域が有限の場合は、形態係数は次の式で与えられます。
上の方程式から、以下の依存関係が常に有効になります。
熱伝達に関する多くの文献において、単純な形状を持つ領域の形態係数は解説されていますが、実設計において形態係数を計算することは高速なコンピュータを使用しても複雑な処理です。面 A と面 B の間の輻射に対する形態係数を計算する場合、ソフトウェアでは、要素面により定義される複数の小さな領域 (サーフェス) から構成されるものとしてれぞれの面を計算します。そして、各要素面の形態係数を、他の全ての要素面との相対で計算します。この処理には、同じ面に含まれる要素面間の形態係数の計算も含まれます。
ある程度細かいメッシュの場合、くぼんだ面はそれ自身に対して輻射します。平坦な面、あるいは凸面ではそれ自身への輻射は起こりません。このような効果が自動的に考慮されます。
ブロッキング(Blocking)
2 つの要素面の間の輻射が、第 3 の要素面によってブロックされる場合もあります。この場合、形態係数は 0 になります。ソフトウェアでは、図のような指定したすべての面の間のブロッキングを自動的に考慮します。正しくブロッキングを認識させるためには、輻射に関係のある面を全て選択してください。下の例では、面 3 と 面 4 が面 1 と 面 2 の間の輻射を部分的にブロックしています。面 1、面 2、面 3 だけを選択すると、不正が結果が得られます。