接触熱抵抗 - 例

エレクトロニクス産業の分野では、チップは通常、エポキシの薄層によって基板に接合されます。 この技術は、他の産業でも使用されています。 エポキシ層を独立した部品としてモデリングすると、要素サイズが非常に小さくなるため、必要以上に要素数の多いモデルになってしまったり、 メッシュ作成に失敗したりする場合があります。

エポキシ層によって生じる熱抵抗を考慮する際に、モデリングやメッシュ作成を行う必要はありません。 接触熱抵抗は、面-面接触条件の 1 つとして設定されます。

総抵抗(K / W)、または分布抵抗/単位面積((K * m²) / W)が SI 単位系における期待値になります。 2 つの部品間における材料の薄層の温度降下を表す基本数式は次のとおりです。

ΔT = q * [t / (k * A)]

  • ΔT = 接触領域における温度降下(K)
  • q = 接触を通して流れる熱量(W)
  • t = 層の厚み(m)
  • k = 層材料の熱伝導率(W / (m*K))
  • A = 接触の表面積(m²)

総熱抵抗は t / ( k* A) で表され、分布抵抗は t / k で表されます。

接触熱抵抗の設定(Modeling Thermal Contact Resistance)

接触熱抵抗の設定には、2つの方法があります:

  • 幾何形状を作成する際、エポキシの薄層を無視します。 つまり、実際には薄層によって切り離されている2つの部品の面が、 モデルでは接触することになります。
  • 幾何形状を作成する際、エポキシ層を考慮します。 この場合、熱接触の2つの面の間にはギャップが生じます。 この方法を用いる場合には、次の2つの点に注意してください。
    • 2 つの接触面の間の距離が周囲にある要素サイズ以下のときに、結果は最も正確になります。 次に示す例では、結果が不正確になる場合があります。

    • 必須ではありませんが、 熱接触面を適切に定義するために2つの面を離すと、 精度を上げることができます。

大きな面といくつかの小さな面の間に異なる熱抵抗を指定するには、まず大きな面を小さな面に分割してから、それぞれのペアに対して熱接触抵抗を指定します。

熱接触抵抗の面が一致しない場合

接触する面の間の熱接触抵抗を定義する場合、分割ラインを使用して部品間の重なり合う面を作成することをお勧めします。 面は接しているが重なっていない場合は、3 つのケースがあります。 次のケースにおいて、分布抵抗 Rd はセット 1 の面の材料の層に対応すると考えられます。

ケース 1 ケース 2 ケース 3
thermal_resistance_case1.png thermal_resistance_case2.png thermal_resistance_case3.png
セット 2 の青の面はセット 1 の赤の面をカバーします。 セット 1 の青の面はセット 2 の赤の面をカバーします。 セット 1 の参照面はセット 2 の青い面と部分的に交差します

総熱抵抗: Rt = Rd / A1、ここで A1 はセット 1 の面の面積です。

総熱抵抗は Rt = Rd / A1 です。したがって、セット 2 の面がセット 1 の面より小さい場合でも、セット 1 の面の総面積が総抵抗の計算で考慮されます。

しかし、2 つの面間における熱伝導のチェックには、共通の投影面積(この場合はセット 2 の面の面積)のみが考慮されます。

このような状況はお勧めしません。 セット 1 とセット 2 の面間における接触の共通投影面積は、分割ラインを使用して作成してください。