メッシュの品質は、精度の高い結果を得る上で重要なポイントです。 ソフトウェアでは、2つの方法で要素の特性をチェックしています。
アスペクト比チェック
ソリッド メッシュでは、エッジの長さが等しい完全な正四面体要素を含むメッシュを使用すると、最も精度の高い数値が得られます。 一般的なジオメトリでは、完全な四面体要素のメッシュを作成できません。
小さいエッジ、カーブしたジオメトリ、薄いフィーチャー、および鋭角なコーナーのため、生成される一部の要素では、エッジが他の要素よりも極端に長くなる可能性があります。 要素のエッジの長さが大幅に異なる場合、結果の精度は低くなります。
各辺の長さが完全に一様な完全な四面体要素のアスペクト比は、 他の要素のアスペクト比の基本となります。 要素のアスペクト比は、最も長いエッジと、頂点から対する面への最も短い法線の比で、完全な四面体を基準に正規化されています。
定義上、完全な四面体要素のアスペクト比は 1.0 です。アスペクト比チェックでは、4 つの節点を結ぶ直線エッジが存在することが前提になっています。 ソフトウェアではアスペクト比を計算してメッシュ品質をチェックします。
例(Example)
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アスペクト比 1.0の場合
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アスペクト比が大きな場合
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高精度メッシュのアスペクト比は、その要素のほとんど(90% 以上)で 5 未満になります。 メッシュ精度プロットを作成し、すべての要素のアスペクト比をプロットします。
ヤコビアン比チェック
2 次メッシュ要素(高精度のソリッド メッシュおよびシェル メッシュ)で使用できます。
ヤコビアン比は、理想的な形状の要素(長さが等しい直線エッジを持つ要素)から要素の形状の偏差を測定します。 線形エッジを持つ完全な 2 次四面体要素のヤコビアン比は 1.0 です。要素のヤコビアン比は、カーブ ジオメトリをマッピングするために、要素エッジの曲率が増加するにつれて上がります。
極端に鋭角な境界または湾曲した境界の付近では、要素のエッジが互いに交差し、要素がひずみ、自己交差するジオメトリになる可能性があります。 ひずみのある要素は、ヤコビアン比が負の値であり、不正確な結果が生じます。
メッシュ(Mesh) PropertyManager では、ひずみのある要素に関する警告の発行(Issue warning for distorted elements)オプションにより、メッシュにひずみのある要素が存在する場合には警告されます。 ひずみのある要素を除去するには、まずモデルでジオメトリの不規則性をチェックします。 ひずみのある要素が存在する領域でメッシュを緻密化します。
ヤコビアン比チェックでは、各要素内にあるガウス点が考慮されます。 新しいスタディのデフォルト値は、16 ガウス点です。
推奨事項: 静解析で p-法を用いる場合は、ヤコビアン チェック(Jacobian check)を節点位置(At Nodes)に設定してください。
高次のシェルの場合、ヤコビアン チェック(Jacobian check)は節点にある 6 点を使用します。
十分な精度のメッシュでは、ほとんどの要素(90% 以上)のヤコビアン比は 1 から 10 の範囲です。 メッシュ特性プロットを作成し、すべての要素のヤコビアン比をプロットします。
ほとんどのモデルでは、曲率の高い領域にある要素はアスペクト比とヤコビアン比が高くなります。 アスペクト比とヤコビアン比が最も大きい要素(10 より大きい)が解析の重要領域から離れている場合、これらの領域のメッシュを緻密化しても意味がない可能性があります。 しかし、シミュレーションで重要な領域では、メッシュを局所的に緻密化して精度の低い要素のアスペクト比とヤコビアン比を小さくしてシミュレーション結果を向上できます。
モデルのジオメトリによっては、メッシュ緻密化のレベルを進めてもメッシュ精度とシミュレーション結果が向上しないものがあります。 メッシュ緻密化のレベルごとに、アスペクト比とヤコビアン比のメッシュ精度プロットで表示される低精度要素が少なくなることを確認してください。 さらに、メッシュ緻密化がうまくいくたびに、シミュレーション結果は有限値に収束することを確認してください。