線形理論では微小変形を仮定しています。 また、接触領域の法線は荷重時に方向が変化しないことを前提としているため、1 ステップで全荷重を適用します。 この方法では微小変形の仮定が成り立たない箇所においては不適切な解を出したり、収束が難しくなったりする場合があります。
大変位解析を使用できます。 大変位問題の解析にはより多くの時間とリソースが必要ですが、より高精度な結果が得られます。
得られた変形により剛性(構造が荷重に耐える能力)が大幅に変化する場合には、大変位解析が必要です。
小変位解析では、荷重適用中に剛性が変化しないことを前提としています。 大変位解析では、荷重適用中に剛性が変化することを想定しているため、荷重を段階的に適用してその段階ごとに剛性を更新しながら解析します。
静解析(Static)ダイアログ ボックスで大変位(Large displacement)が選択されていると、静解析スタディは荷重増分とジオメトリの更新を行うことで解析されます。
静解析スタディで大変位解析を使用すると、最終ステップで結果を表示できますが、これは全荷重に対応します。 非線形解析スタディでは、各段階の結果を見ることができます。
静解析を実行し、すべての変位が計算されると、ソルバによって大変位チェックが実行されます。 過剰な変位が計算された場合は、警告メッセージが表示されます。 ソルバは次のチェックを実行します:
- ピン結合を持つモデルについて、個々のピン結合内の相対的回転 (θ) が小規模であることを確認します。 相対的回転 θ が 5o(度)を超えている場合、ソルバは警告メッセージを発行します。
- すべてのモデルを対象に、ノード総数における最大変位(ユークリッド ノルム)をチェックし、それをモデルの長さと比較します。 モデルの長さに対する最大変位の比率が 10% を超えている場合、警告メッセージが表示されます。 モデルの長さ(L)は次のように計算されます:

ここで、 Xi、Yi、および Zi は、are ノード i の座標です。X c、Yc、および Zc は、モデルの幾何的な中心の座標です。N は、モデル内のノードの総数です。
大変位をアクティブにするには:
- Simulation スタディ ツリーで、静解析スタディ アイコンを右クリックし、プロパティ をクリックします。
静解析(Static)ダイアログ ボックスが表示されます。
- オプション(Options)タブで、大変位(Large displacement)をクリックします。
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OK をクリックします。
このオプションはソフトウェアが接触問題をどのように扱うかを指定するものです。 この機能の例題は、オンライン チュートリアルを参照してください。
大変位(Large displacement)を選択解除 |
荷重はすべて一度に適用されます。 ソースとターゲットのペアは初期位置に基づいて決められ、そのまま接触反復計算中に変わることはありません。 接触範囲の基準方向もまた初期位置に基づいて決められ、そのまま接触反復計算中に変わることはありません。 これらの仮定が有効でない場合、不正確な結果や収束の問題が発生する可能性があります。 |
大変位(Large displacement)をチェック |
荷重は最大ステップ数まで徐々に均等に適用されます。 ソフトウェアにより、変形結果に基づいてステップ数が設定されます。 基準とターゲットのペアと接触範囲の基準方向は解析ステップごとに見直されます。 |
推奨される方法
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大変位オプションを指定せずに問題を解く。
- 次の場合は大変位オプションを指定し再度解析することをお勧めします。
- 接触面の変位が、1.0 のスケール係数を使用して変形形状をプロットしたときに顕著になる場合。
- ひずみの最大値が 4% を超える場合
- von Mises 応力値が降伏応力に近い場合
注記
- 非線形スタディを作成し、大ひずみと材料非線形性を処理します。
- 大変位解は次の場合は機能しません:
- スポット溶接結合とベアリング結合
- 梁メッシュあるいは梁を含む混在メッシュ
- リモート荷重/質量
- 剛体
- 静解析(Static)ダイアログ ボックスのフリー ボディ フォースの計算(Compute free body forces)オプション(ソフトウェアはこのオプションを無視します。)