線形理論では微小変形を仮定しています。また載荷中に接触範囲の基準方向は変化しないことも仮定されています。これは全ての荷重を 1 ステップで適用するからです。この方法では微小変形の仮定が成り立たない箇所においては不適切な解を出したり、収束が難しくなったりする場合があります。
大変位問題を指定することもできます。大変位問題の解析にはより多くの時間とリソースが必要ですが、より高精度な結果が得られます。得られた変形により剛性(構造が荷重に耐える能力)が大幅に変化する場合には、大変位解析が必要です。小変位解析では、荷重適用中に剛性が変化しないことを前提としています。大変位解析では、荷重適用中に剛性が変化することを想定しているため、荷重を段階的に適用してその段階ごとに剛性を更新しながら解析します。
静解析(Static)ダイアログ ボックスの大変位が有効になっていると、静解析スタディは荷重増分とジオメトリの更新を行うことで解析されます。
大変位解析を静解析スタディで使用する際には、全荷重に対応する最終ステップの結果しか表示できません。非線形解析スタディでは、各段階の結果を見ることができます。
大変位(Large displacement)オプションを有効にするには
- Simulation スタディ ツリーで、静解析スタディ アイコンを右クリックしてプロパティ(Properties)を選択します。
静解析(Static)ダイアログ ボックスが表示されます。
- オプション(Options)タブで、大変位(Large displacement)をクリックします。
- OK をクリックします。
このオプションはソフトウェアが接触問題をどのように扱うかを指定するものです。この機能の例題はオンラインチュートリアルを参照してください。
オプションがチェックされない場合(Option Unchecked) |
荷重はすべて一度に適用されます。ソースとターゲットのペアは初期位置に基づいて決められ、そのまま接触反復計算中に変わることはありません。接触範囲の基準方向もまた初期位置に基づいて決められ、そのまま接触反復計算中に変わることはありません。この方法は変位が大きくなったときなど、小変位の仮定が成り立たない場合においては不適切な解を出したり、収束が難しくなったりする場合があります。 |
オプションがチェックされている場合(Option Checked) |
荷重は最大ステップ数まで徐々に均等に適用されます。ステップ数は変形結果に基づきプログラムが内部計算で決定します。基準とターゲットのペアと接触範囲の基準方向は解析ステップごとに見直されます。
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推奨される方法
接触問題を解く上では次の方法をお勧めします。
- 大変位オプションを指定せずに問題を解く。
- 次の場合は大変位オプションを指定し再度解析することをお勧めします。
- 変形形状のプロットを変形スケール 1.0 で表示し、変形もしくは接触面の方向に著しい変化が見られる場合
- ひずみの最大値が 4% を超える場合
- von Mises 応力値が降伏応力に近い場合
注記
- 大ひずみや材料非線形を扱う場合には完全な非線形解析が必要です。
- 大変位解は次の場合は機能しません:
- スポット溶接結合とベアリング結合
- 梁メッシュあるいは梁を含む混在メッシュ
- リモート荷重/質量
- 静解析(Static)ダイアログ ボックスのフリーボディーフォースの計算(Compute free body forces)オプション(ソフトウェアはこのオプションを無視します)
- 静解析(Static)ダイアログ ボックスの接触している面の精度を改善(遅い)(Improve accuracy for bonding incompatible mesh (slower) )オプション、面-面、接触(No penetration)(ソフトウェアはこのオプションを無視します)