スタディ タイプ

ソフトウェアでは、以下のスタディ タイプがサポートされています:

静解析(Static)(あるいは応力解析(Stress))スタディ

静解析では変位、反力、ひずみ、応力、安全率分布を計算します。材料は、応力があるレベルを超えると破壊します。安全率は、破壊基準で決まります。ソフトウェアでは4 つの破壊基準をサポートしています。

静解析を使用し、大きな応力によって破壊するような設計を変更することができます。安全率が 1 の場合、材料は破壊します。ある連続領域で応力が低く、大きな安全率を示している場合、その領域では材料を減らすことができます。

固有値解析(Frequency)スタディ

静止した状態から揺り動かされた物体は、ある振動数 (周波数) で振動する傾向があり、その振動数 (周波数) は固有振動数または固有周波数と呼ばれています。1 次の固有周波数は基本周波数と呼ばれます。各固有振動数には、モード形状と呼ばれるある形状を伴います。固有値解析は、固有値と関連するモード形状を計算します。

理論的には、物体は無限のモードを持っていることになりますが、FEA には、自由度 (DOF) の数だけモードが存在するという理論があります。一般には、2、3のモードだけに注目します。

ある物体が、その物体の持つ固有振動数と同じサイクル数の強制振動を受けた場合、激しく応答します。この現象は、「共振(resonance)」と呼ばれています。例えば、タイヤのバランスの悪い自動車は、あるスピードで激しく揺れ、その他のスピードではそんなに揺れを感じないばかりか発生しない、というような現象に相当します。その他、オペラ歌手の大きな声 (音) なども 1 つの例で、グラスでさえも壊わしてしまうかもしれないのです。

固有値解析は、共振に伴い生じる過剰応力による物体の破損を検証するために役立ちます。また、動的応答問題を解決するための情報を提供します。

座屈解析(Buckling)スタディ

座屈とは軸荷重により突然大きな変位が生じることを意味します。軸荷重を受けやすい細長い構造モデルでは、材料破損が発生するのに必要なレベルよりも低い荷重レベルの座屈で破損する可能性があります。座屈が、異なる荷重レベルで異なるモードで生じる場合もあります。多くの場合、最小座屈荷重が重要です。

座屈解析は座屈による破損を検証するのに役立ちます。

熱伝導解析スタディ(Thermal studies) 発熱、熱伝導、熱流、輻射から、温度分布、温度勾配、熱流速を計算します。熱伝導解析は過熱および融解のような不適当な熱条件を回避するために使用します。
デザイン スタディ(Design Studies) 最適化デザイン スタディは幾何形状の最適な形状を自動的に計算して求めます。ソフトウェアは、すばやく傾向を検知し、最小の実行回数で最適解を求めます。最適化デザイン スタディでは、以下の条件を定義する必要があります。

ゴール

解析の目的を設定します。例えば、最小重量などを設定します。ゴールを定義しない場合、ソフトウェアは非最適化デザイン スタディを実行します。

変数(Variables)

範囲を変更し設定することができる寸法を選択します。例えば、穴の直径は、0.5 から 1.0 までの範囲とし、スケッチの押し出しは 2.0 から 3.0 までの範囲と設定することができます。

拘束

最適設計が満たすべき条件を設定します。例えば、応力、変位、温度が一定値を超えないようにしたり、固有振動数を特定の周波数範囲になるようにする、などです。

非線形解析スタディ(Nonlinear Studies) 非線形解析では、条件違反があると見なされることが原因で結果に誤りが生じる場合があります。非線形解析は、材料挙動、大変位、接触条件によって生じる非線形の問題を解決するために使用します。静解析スタディと動的スタディを定義することができます。
線形動解析スタディ(Linear Dynamic studies) 慣性力と減衰力を考慮する場合、静解析スタディでは正確な結果を得ることができません。 線形動解析スタディでは、固有周波数とモード形状を使用し、動的荷重環境における構造体の応答を評価します。 次を定義することができます:
  • モーダル時刻歴(Modal time history)スタディ: 荷重の定義と時間の関数による応答の評価。
  • 調和(Harmonic)スタディ: 荷重を固有値の関数として定義、また様々な動作固有値幅における最大応答の評価。
  • 不規則振動(Random vibration)スタディ: パワー スペクトル密度による不規則荷重の定義、また様々な固有値幅における RMS 値あるいは PSD 値応答の評価。
  • 応答スペクトル スタディ: 設計スペクトルの観点から特定の地盤振動が適用されたシステムの時間にわたるピーク応答を推計します。
落下試験スタディ(Drop Test studies) 落下試験解析では、剛体の床面または弾性の床面に部品またはアセンブリを落下させたときの効果を評価します。 この解析は、剛性または弾性の平坦なサーフェスを持つモデルへの衝撃をシミュレートするときに使用します。
疲労解析スタディ(Fatigue studies) 載荷と除荷の繰り返しが長期に及ぶと、引き起こされる応力が許容される応力限界よりも大幅に低い場合でも、オブジェクトの強度は弱くなります。この現象は疲労として知られています。線形および非線形の構造解析スタディは、疲労解析による破壊の予測は行いません。これらの解析では、指定された拘束および荷重条件下でのデザインの応答を計算します。解析の仮定に準拠し、また算出された応力が許容される限界に至らない場合は、その荷重が何度適用されても指定の環境下ではデザインは安全であるという結論が導かれます。疲労解析では、疲労解析イベントと S-N カーブに基づいて、物体の消耗寿命が評価されます。主応力、von Mises 応力、最大主交番応力に基づいた疲労解析計算を実行できます。
圧力容器デザイン スタディ(Pressure Vessel Design) 必要な要素を伴う静解析スタディの結果を組み合わせます。それぞれの静解析では異なる荷重設定が行われ、対応する結果が生成されます。これらの荷重は死荷重、活荷重(静的荷重で近似)、熱荷重、地震荷重などになります。圧力容器デザイン スタディでは静解析スタディの結果を線形組み合わせあるいは平方和方式の平方根(SRSS)を使用して代数学的に組み合わせます。
2D 簡略化スタディ(2D Simplification studies) 特定の 3D モデルを 2D でシミュレートして簡略化することができます。2D 簡略化は、静的、非線形、圧力容器設計、および熱解析の各スタディで使用できます。2D 簡略化オプションを使用して、解析時間を短縮できます。2D モデルでは 3D モデルに比べてメッシュ要素が少なく接触条件が単純なためです。解析を実行した後で、3Dで結果をプロットすることができます。