S-N カーブからの Basquin 定数の生成

ある材料の疲労強度 S-N カーブから、Basquin 関係式の定数を生成したり、曲線の当てはめ計算に含める S-N カーブのデータ点の数を指定して、プログラムで Basquin 定数を計算することができます。

SOLIDWORKS Material データベースおよび SOLIDWORKS Material Web Portal から利用できる材料の中には、S-N 疲労カーブ データ情報が含まれているものがあります。 たとえば、SOLIDWORKS Material Web Portal(材料データベース フォーマットは *.sldmat) からダウンロードした材料 Ti-6AI-4V(Metal_Ti Alpha-Beta Alloy)の S-N カーブは、log S - log N スケールで表示されます。

最初の 4 つの S-N データ点の数値がテーブルに表示されます。

Basquin の関係式は、Y-軸の負荷応力サイクル(S)と log-log スケールでプロットされた X-軸の破壊までのサイクル数(N)との間の線形関係を表す、べき乗関係です。

次のように定義できます。

ここで、N は破壊までのサイクル数(通常、104 以上)、Sr は疲労強度の参照値(Simulation では、この値は交番応力を 2 倍した応力範囲)、m は log S - log N 疲労強度カーブの傾き、B は 1 サイクルの応力値です。

Basquin 関係式の傾き m を計算するには、次の連立関係式を解きます。

m を解くには、両方の式の対数をとります。

上のテーブルから最初の 2 つの S-N データ点を代入し、m を計算してから B を計算します。

定数 B の場合、プログラムは応力範囲値(最大繰り返し応力から最小繰り返し応力まで)を考慮します。 S-N カーブの応力値を交番応力として与える場合(これが一般的な方法です)、交番応力を 2 倍して、定数 B を計算します(応力範囲 = 2* 交番応力、ゼロ平均応力および完全反転の繰り返し荷重を仮定)。 S-N カーブ データを応力範囲値で与える場合、関係式に応力範囲値を直接適用して、定数 B を予測します。傾き定数 m の計算では、応力を乗算しても傾斜値は変わりません。

S-N 疲労カーブ(Fatigue SN Curves) タブ(材料(Material) ダイアログ ボックス)で、カーブ固有定数(B)(Curve specific constant(B)) に B の値を入力し、S-N カーブの傾き(m)(Slope of S-N curve(m)) に m の値を入力します。単位(Units) で応力の適切な単位を選択し、S-N カーブから Basquin 定数を予測(Estimate Basquin constants from S-N curve) を選択解除します。

また、規格の疲労強度カーブのプロットを検索することもできます(例:Eurocode 9: Design of aluminum structures: Structures susceptible to fatigue, Ref. EN 1999-1-3:2007/A1)。

疲労強度 S-N カーブの例

Eurocode 9 で、さまざまな詳細カテゴリの傾き定数 m の数値を検索してから、B を計算することができます。

たとえば、穴のある単純な平面用の Ref. Table J.2 - Detail categories for plain members, EN 1999-1-3:2007/A1 に基づいて、応力範囲 Ds = 100 MPa、N = 2x106 サイクル、傾き m = 7 とした場合、B の値は次のようになります。

プログラムが、直線に対して任意の S-N データ セットで曲線の当てはめを実行できるようにするには、S-N カーブから Basquin 定数を予測(Estimate Basquin constants from S-N curve) を選択します。 この場合、補間(Interpolate)両対数(Log-log) に設定されていることを確認し、S-N カーブの限界点を次の行で指定(Consider the cut-off point for the S-N curve at row) で曲線の当てはめを考慮する最終の S-N データ点を選択します。

下の 2 つのグラフはそれぞれ、S-N データ点が 2 個の場合(グラフ(a))と 22 個の場合(グラフ(b))の、元の S-N カーブ(赤い線)と Basquin 関係式の曲線の当てはめ線(緑の線)を重ねて示しています。 この解析を開始する前に、Basquin の曲線の当てはめ品質を確認することを推奨します。 元の S-N カーブの近似における曲線の当てはめ線の品質は、限界点までの S-N カーブ部分に最適です。

(a)2 個の S-N データ点を含む Basquin の曲線の当てはめ(緑の線) (b)22 個の S-N データ点を含む Basquin の曲線の当てはめ(緑の線)

疲労強度 S-N カーブ

参照: Figure J.1 , EN 1999-1-3:2007 : Annex J, Eurocode 9: Design of aluminum structures - Structures susceptible to fatigue