パフォーマンスの向上(Performance Improvements)

SOLIDWORKS 2019 では、ワークフローの複雑性の増大や大規模なモデル向けに、多くの分野でパフォーマンスとワークフローの変更が組み込まれています。

Installation Manager

SOLIDWORKS® 2019 Installation Manager は、SOLIDWORKS 2018 以前との比較で最大 2 倍のダウンロード速度を実現する新しいダウンロード方式を使用しています。

また、この新しいダウンロード方式では、Installation Manager でインストール ファイルのダウンロードに失敗した場合も解決できます。

詳細設定と図面

穴の数が多い場合や、円形の穴と非円形の穴が混在している場合に、穴テーブルを作成、開く、編集するときのパフォーマンスが向上しています。

次の条件の下で、モデルから図面への切り替えに要する時間が改善されました。
  • モデルとその図面の両方が開かれている。
  • モデルでジオメトリを変更しない変更を行う。
  • 図面に複数のシートがある場合。
  • ビューの自動更新(Automatic view update)がオンになっている場合。

モデル表示(Model Display)

SOLIDWORKS 2019 では、部品とアセンブリに新しいグラフィック アーキテクチャが採用されています。 このアーキテクチャにより、特に大規模なモデルの場合、応答性の高いリアルタイム表示が実現されます。 最新の OpenGL(4.5)およびハードウェア アクセラレーション レンダリングを利用して、大規模モデルのパン、ズーム、または回転を行うときに、高水準のディテールとフレームレートを維持できます。 これらのパフォーマンス向上により、以前のバージョンの SOLIDWORKS では十分にサポートされていなかった、ハイエンドのグラフィック カードによる拡張が可能になりました。 これらの変更は、図面には適用されません。

SOLIDWORKS 2019 の新しいアーキテクチャをオンにするには、 ツール(Tools) > オプション(Options) > システム オプション(System Options) > パフォーマンス(Performance) を選択し、さらにグラフィックス パフォーマンスを有効化(Beta フィーチャー、SOLIDWORKS の再起動が必要)(Enable graphics performance(Beta feature, requires SOLIDWORKS restart))を選択します。

Pack and Go

システム オプション(System Options)のオプションである、図面も含める(Include drawings)を選択した場合、図面の検索が特定のフォルダに制限されてパフォーマンスが向上します。 ツール(Tools) > システム オプション(System Options) > 外部参照(External References) で、Pack and Go で図面の検索にサブフォルダを含める(Include subfolders for drawings search in Pack and Go)を選択すると、すべてのサブフォルダで図面が検索されます。 このオプションを選択解除した場合、SOLIDWORKS では ツール(Tools) > オプション(Options) > ファイルの検索(File Locations) > 参照ドキュメント(Referenced Documents) で指定されたパッケージ化されたモデルとフォルダに図面検索を制限します。

ルーティング(Routing)

機能の改善 説明
ルーティング構成部品ウィザード Routing Library Managerルーティング構成部品ウィザード(Routing Component Wizard)を使用したルーティング ライブラリ構成部品の作成が、より効率的になりました。 このウィザードには、さまざまなタイプのルートのルーティング構成部品の作成に使用するために必要なタブのみが表示されます。 タブ切り替え時のウィザードの応答が速くなりました。

Routing Library Manager > ルーティング構成部品ウィザード(Routing Component Wizard) > 設計テーブル チェック(Design Table Check) タブには、すべての構成部品固有の列ヘッダーが表示されます。 設計テーブルの情報はロックされています。 ウィザードで列ヘッダーを編集し、次へ(Next)をクリックすると設計テーブルに変更を適用できます。

Routing Library Manager > ルーティング構成部品ウィザード(Routing Component Wizard) > 構成部品属性(Component Attributes) タブでは、複数のコンフィギュレーションを持つ構成部品は、アクティブな構成パラメータのみをロードします。 その他のコンフィギュレーション データは、タブでそのコンフィギュレーションを選択したときにのみロードされ、タブのパフォーマンスが高速化します。

配管と管材データベース(Piping and Tubing Database)

構成部品を除去

データベースから構成部品を除去するには、 構成部品選択(Select Components)構成部品を除去(Remove Components)を選択し、保存(Save)をクリックします。

構成部品のスキャン

データベースに存在しない構成部品を一覧表示するには、データベースにはないライブラリ構成部品をスキャン(Scan for library components which are not in the database)スキャン(Scan)をクリックします。 データベースにスキャンした構成部品を含めるには、構成部品の追加(Add Components)を選択し、保存(Save)をクリックします。

保存とスキャン操作が高速になりました。 Routing Library Manager > 配管と管材データベース(Piping and Tubing Database) > 構成部品選択(Select Components) > データベースにはないライブラリ構成部品をスキャン(Scan for library components which are not in the database) 除外したフォルダをスキャン(Scan excluded folders)を選択しスキャン(Scan)をクリックして除外したフォルダの構成部品をスキャンします。 スキャン処理が完了すると、テーブルにデータベースに存在しない構成部品が表示されます。 このテーブルでは、構成部品のタイプ(Type)およびサブ タイプ(Sub Type)を編集して保存できます。

保存(Save)をクリックすると、SOLIDWORKS ソフトウェアが開き、変更したタイプ(Type)またはサブ タイプ(Sub Type)の選択した構成部品だけが保存され、それらがデータベースに追加されます。

データのインポート ダイアログボックス(Import Data Dialog Box) Routing Library Manager > 配管と管材データベース(Piping and Tubing Database) > データインポート(Import Data) では、ワークフローを改善するために開始(Start)同期化(Synchronize)を同時に利用することはできません。
ルートと構成部品タイプの選択 ルート構成部品ウィザード(Routing Component Wizard)では、ルート タイプの選択(Select Route Type)構成部品タイプ選択(Select Component Type)タブが統合され、アクセスが改善されました。
設計テーブル チェック ルーティング構成部品ウィザード(Routing Component Wizard)では、部品にデザイン ライブラリが存在しない場合に、設計テーブル チェック(Design Table Check)ノードが利用可能になりました。 新しい設計テーブルを作成するように求めるメッセージが表示されます。

以前は部品に設計テーブルが存在しない場合には、設計テーブル チェック(Design Table Check)ノードは使用できず、新しい設計テーブルを作成するオプションはありませんでした。

Routing Library Manager のコネクタの画像 Routing Library Manager では、ルーティング構成部品ウィザード(Routing Component Wizard)タブのルートと構成部品タイプ(Route and Component Types)ルーティング ジオメトリ(Routing Geometry)、およびルーティング機能点(Routing Functionality Points)の各ノードに画像が表示されるようになりました。

これらの画像により、構成部品の識別が容易になりました。

Toolbox

Toolbox 合致の自動更新(Automatic Update for Toolbox Mates)を選択解除することで、Toolbox 構成部品とToolbox 以外の構成部品間の合致の自動更新を一時的に無効にすることができます。 自動更新を無効にすることで、合致の編集、合致の追加、構成部品の操作をすばやく実行できるため、パフォーマンスが向上します。

自動合致更新を無効にした場合:
  • 構成部品を合致した構成部品に移動する場合、Toolbox ファスナーは移動しません。 Toolbox 以外の構成部品は移動します。
  • 複数の Toolbox 構成部品が挿入され、トップ レベルで合致したアセンブリで作業すると、パフォーマンスが向上します。 たとえば、トップ レベルで数百のファスナー スタックがあるアセンブリでは、これらの合致の更新は、合致の解決、合致の追加、構成部品のドラッグなどの操作の実行時にアセンブリのパフォーマンスに影響を与えることがあります。
Toolbox 構成部品が以下の場合、パフォーマンスは向上されません。
  • サブアセンブリにある場合。このオプションはトップ レベルの合致の解決のみに影響するためです。
  • パターン化されている場合。パターン化されたインスタンスでは合致を使用しないためです。

アセンブリを開くたびに、Toolbox 合致の自動更新(Automatic Update for Toolbox Mates)を無効にする必要があります。 Toolbox の合致の自動更新を無効にする を参照してください。

SOLIDWORKS Electrical 3D

ケーブルの配線(Route Cables)ツールとハーネスの配線(Route Harness)ツールのパフォーマンスが向上しています。 アセンブリ内の多数のワイヤをルーティングするためにワイヤの配線(Route Wires)ツールを使用するとき、パフォーマンスが高速になります。

ツール(Tools) > SOLIDWORKS Electrical > 電気コンポーネント ウィザード(Electrical Component Wizard)をクリックすると、ルート ライブラリ マネージャ(Route Library Manager) がすぐに開始し、SOLIDWORKS Electrical 3D の構成部品を迅速に定義することができます。

SOLIDWORKS PDM

SOLIDWORKS PDM では、内容(Contains)タブおよび使用先(Where Used)タブにおける大規模なアセンブリや複雑な参照構造のロードのパフォーマンスが改善されています。

ファイルの移動、ドラッグ、参照、名前変更や、多くのファイルがあるフォルダに大量のファイルを追加するといった操作を、よりすばやく完了できます。 仮想構成部品を含むアセンブリのチェックインも非常に高速にできます。

統合検索結果を処理する際の参照速度が向上しました。

不要なインターフェース更新を排除したため、ローカルにキャッシュされたファイルが多数存在するフォルダなどの参照速度が向上します。

SOLIDWORKS Manage

SOLIDWORKS PDM オブジェクトを多数のファイルとフォルダと同期する場合のパフォーマンスが改善しました。 同期の詳細(Synchronization details)ダイアログ ボックスに、同期のステップが表示されます。

同期の詳細(Synchronization details)ダイアログ ボックスを開くには:

  1. SOLIDWORKS PDM オブジェクトを編集します。
  2. ダイアログ ボックスの接続(Connection)ページに移動します。
  3. 同期ステップを表示(Show synchronization steps)を選択します。
  4. OK をクリックします。

Simulation

シミュレーションを解析する際の全体的な安定性とパフォーマンスが、特に複数の荷重ケースによる線形静解析スタディで、向上しています。

パフォーマンスの向上は、主に解析理論が再構成され、パフォーマンスが最適化されていることによります。 最適化された再構成は、Intel Direct Sparse ソルバのみに限定されています。 最大 25 個の荷重ケースを持つ線形静解析スタディでは、解析時間の大幅な改善が見られます。 次の点に注意してください:

  • 圧力、力、トルク荷重タイプに対して、Intel Direct Sparse ソルバの最適化パフォーマンスが実現されています。 他のすべての荷重タイプ、コネクタ、およびゼロ以外の強制変位は、1 つの荷重ケースから別の荷重ケースに変化させることができないことから、解析時にパフォーマンスへの寄与が見られません。
  • 次のケースでは、パフォーマンスの向上はありません。 接触、仮想壁接触、各荷重ケースで変動する分散梁荷重、梁頂点の荷重、および伸長のみまたは圧縮のみのスプリングによって定義された荷重ケースでの線形静解析スタディ。
  • 複数の荷重ケースを持つ線形静解析スタディでは、グローバル剛性マトリックスの因数分解がパフォーマンスに寄与します。 グローバル剛性マトリックスの因数分解(総解析時間の大部分を占める)は、すべての荷重ケースで剛性マトリックスがまったく同じであるため、1 回のみ実行されます。

eDrawings

eDrawings® では、ビュー操作とアセンブリ構成部品の選択がより高速になりました。

パフォーマンスを向上させるには、ツール(Tools) > オプション(Options) > 一般(General)をクリックし、グラフィックス ブースト(Graphics boost)最高速(Fastest speed)を選択します。