この例では、ステンレス鋼材料の参照データからクリープ定数を算出します。
クリープの通常の指数法則(Bailey-Norton 法則)から、温度変化を考慮しない場合、時間 t でのクリープひずみは次のように求めます:
材料(Material)ダイアログ ボックスで、定数 C
0、C
1、および C
2 には次のようなラベルが付けられています:
C0 = クリープ定数 1、C1 = クリープ定数 2、および C2 = クリープ定数 3
上記の関係式では: クリープ定数 1(C0)は SI 単位系(応力は N/m2、時間は秒)で計算され、クリープ定数 2(C1 >1)は単位なしで、クリープ定数 3(C2)は 0 ~ 1 です。
以下の参照クリープ データから、クリープ状態の関係式のクリープ定数を計算します。 テーブルでは、一定温度で一定な応力値を参照しますが、期間が伸びると 1% のクリープひずみが生じる可能性があります。 これらのデータはステンレス鋼 - グレード 310 を参照しています。
温度(C) |
応力(MPa) |
応力(MPa) |
時間 = 10,000 hr |
時間 = 100,000 hr |
550 |
110 |
90 |
600 |
90 |
75 |
650 |
70 |
50 |
700 |
40 |
30 |
750 |
30 |
20 |
800 |
15 |
10 |
温度 550 C の応力データを選択します。 C
2 = 1 と仮定した場合、上記のクリープ状態関係式から、 2 つの未知数 C
0 と C
1 を持つ 2 つの関係式のシステムがあります。まず C
1 を計算します。クリープの状態に対する 2 つの関係式は次のとおりです:
0.01 = C0 * 110 C1* 10,000 (Eq.1)
0.01 = C0 * 90 C1* 100,000 (Eq.2)
2 つの関係式を等しくし、対数関数を使用します:
C1 * log (110) = C1 * log (90) +1 (Eq.3)
(Eq.3)の計算結果は、C1 = 11.47 です。
(Eq.1)と(Eq.2)のいずれかを使用して、C0 を計算することができます。C0 は SI 単位で計算されるため、変換係数を適用する必要があります。
C0 = 0.01 / ( (90E6)11.47 * 100000 *3600) = 1.616E-102
材料(Material)ダイアログ ボックスには、次の 3 つのクリープ定数を入力します:
クリープ定数 1 = 1.616E-102、クリープ定数 2 = 11.47、クリープ定数 3 = 1
材料(Material)ダイアログ ボックスでクリープ効果を含む(Include Creep Effect)を選択し、選択した材料モデルのクリープ計算をアクティブにします。 クリープの計算は、非線形解析スタディ専用とされています。 クリープ効果は、線形直交異方性弾性と、粘弾性の材料モデルには使用できません。
クリープ計算のソルバ設定
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材料(Material)ダイアログ ボックスでクリープ効果を含む(Include Creep Effect)を選択し、選択した材料モデルのクリープ計算をアクティブにします。 クリープ計算は、固体メッシュを持つ非線形スタディでのみサポートされます。 クリープ効果は、シェルまたは梁ではサポートされません。 クリープの考慮は、線形直交異方性弾性と、粘弾性の材料モデルでは使用できません。
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非線形解析スタディでクリープ効果を考慮する場合は、自動化(自動ステップ)(Automatic (autostepping))オプションを選択して収束の可能性を向上させます(非線形解析スタディ(Nonlinear study)ダイアログ ボックス)。 ソルバはクリープひずみ εorg の元の値を計算します。また、εorg が 1.0 を超えると、解決は終了します。 ソルバが収束に達するために必要な最大反復計算回数を超えると、解決は終了し、ソルバは修正処理が含まれる適切なエラー メッセージを発行します。
- ソルバ(Solver)には、ソルバ自動選択(Automatic Solver Selection)を選択します。
- 秒単位で終了時間(End time)を入力します(非線形解析スタディ(Nonlinear study)ダイアログ ボックス)。