すべての応力ホット スポットが応力特異点に関連付けられるとは限りません。 ホット スポット領域でメッシュを局所的に微細化すると、非特異な応力集中に起因するこれらの応力ホット スポットを消去できます。
応力特異点の特徴的な挙動は、応力値がメッシュ微細化とともに増加し続け(メッシュ コントロールを使用して局所的に、またはメッシュを編集してグローバルに)、理論上は無限に発散していくことです。 応力ホット スポットの要素における応力が、メッシュ微細化とともに増加せず、有限値に向かって収束する場合は応力集中(「正当」な高応力の領域)を示します。
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メッシュが微細化するとともに鋭角な凹角の近くで発散していく応力は、応力特異点を示します。 |
応力集中は、モデルの局所領域で隣接する要素の応力勾配が比較的大きいという特徴があります。 論理的な応力集中に起因する高い応力勾配は、メッシュが十分に微細化されるように指定された限界値に収束します。 これらは、プレート内の穴の存在など、ジオメトリにおける変更がある場合に、異なる材料が存在する境界や、ボディが接触する点で表示されます。
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メッシュが微細化するとともに穴の近くで収束していく応力は、応力集中を示します。 |
解析方法に関する問題については、最大応力/公称応力の応力集中係数に関する参考文献で表形式データを参照できます(Young, W., Budynas, R., (2001), Roark’s Formulas for Stress and Strain, Chapter 17 – Stress Concentration Factors for Elastic Stress (Kt))
応力特異点に関する推奨事項
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応力特異点と論理的な応力集中を区別するには、応力ホット スポットが検出される領域で、グローバルに、または局所的にメッシュを微細化します。 応力ホット スポット診断ツールを再実行すると、応力集中の領域は除外されるため、残った応力ホット スポットが応力特異点を指すことになります。 物質界では、応力が材料の極限強度限界を超えると、材料は降伏またはクラックするため、応力特異点は発生しないことに注意してください。
- 鋭角エッジにフィレットを追加し、高い応力勾配が発生しているコーナーを「丸めます」。 フィレットは、応力を広範囲に分配し、効果的に部品の耐荷重性を高めます。 実際には、製造される「鋭角コーナー」には常に、小さなフィレット半径が含まれていることを覚えておいてください。
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鋭角エッジにおける不規則な応力分布。 |
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フィレットコーナーにおけるスムーズな応力分布。 |
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可能な場合は、頂点またはエッジ上に沿って荷重を適用することは避けてください。 できるだけ正確に実際の荷重条件を近似するため、荷重をモデル上の適切な従属領域に分散します。 荷重が、応力特異点を作成する特異点荷重として適用されたとしても(σ = P/A および A=0 → σ=∞)、適用された荷重から少し離れた応力分布は、正しいものになります。 これは、 St.Venant の原理に基づいています。この原理によれば、2 つの異なる荷重が静的に等価であれば、その効果の差は、荷重から十分離れた距離では非常に小さくなります。
- 応力特異点は、局所的な場合のみ、応力分布を汚染する可能性があります。 応力特異点のこれらの局所領域は、特にシミュレーション内の対象領域に近くない場合は無視して、それより離れた「汚染されない」まま残っている応力結果を確認できます。