ボルト結合の予張力

軸方向荷重またはトルクと摩擦係数の組み合わせを適用して、ボルト結合のプリ応力条件をシミュレートできます。結合ボルト (Connector Bolt) PropertyManager の予圧で値を入力します。

この静解析スタディでは、ボルト結合の定義に 2 つの連続する解析実行が含まれます。
  1. 最初の解析実行では、プログラムはユーザー定義の予圧値を適用してボルト結合にプリ応力をかけます。他のすべてのタイプの荷重は抑制されます。解析が完了した後、プログラムは各ボルトの引張り力を計算してユーザー定義の予圧値と比較します。
  2. プログラムは、引張り力とユーザー定義予圧値の違いに基づいて、新しい調整された予圧値を計算します。
  3. プログラムが、解析が再びすべての荷重と内部的に調整された予圧で各ボルト結合に対して実行されます。

最初の解析実行には、通常、ボルトが締め付けられる前に存在するすべての荷重が含まれる必要があります。そのような荷重には通常は重力が含まれますが、ボルトが締め付けられたときの応力の状態を表すすべての荷重を含めることもできます (力、熱荷重、スプリング予圧など)。プログラムが新しい調節済み予圧値を計算する最初の解析に含める荷重を選択することは現在はできません。通常、この制限により結果の精度に大きく影響することはありません。

対称ボルトを使う場合、選択された対称タイプにより、全体の予荷重の値とボルトの全体の質量の 1/2 または 1/4 を入力してください。また、対称ボルトのボルト荷重のリスト表示をするとき、スタディを実行した後、結果は、合計の力の 1/2 または 1/4 に等しくなります。

非線形解析

  • ボルトの予応力保持(Keep Bolt Prestress)が選択解除されています。

    ゼロ応力状態のボルトの長さ L0 は、解析開始時のボルトの長さ Lst に基づいて決定されます。これは、ボルト結合によって取り付けられた構成部品の変形前のジオメトリ状態に対応します。 ゼロ応力状態のボルトの長さは、次のように計算されます:

    L0 = Lst / (1+(P/A*E))

    非線形解析が進むと、各解析ステップでのボルトの長さ Lstep は、適用された荷重によって変形するため、接続した構成部品の変形ジオメトリに適合します。 非線形解析の終了時のボルトの最終応力は、ユーザー定義の初期荷重応力とは異なります。 各解析ステップでのボルトの軸方向荷重は、次の数式から計算されます。

    Pstep = A* E* (Lstep - L0) / L0

  • ボルトの予応力保持(Keep Bolt Prestress)が選択されています。

    このオプションを選択すると、最初にユーザー定義の初期荷重 P を外部荷重のない初期条件として使用して解析が実行されます。 ボルトで接続された部品の変形が計算され、ゼロ応力状態 L0 のボルトの長さを決めるために使用されます。接続部品の予応力による状態に対応するボルトの変形長として Lf を定義します。 ゼロ応力のボルトの長さは、次のように計算されます。

    L0= Lf / (1+(P/A*E))

    解析の第 2 ステップでは、適用されるすべての荷重が組み込まれます。 各解析ステップでのボルトの軸方向荷重は、次の数式から計算されます。

    Pstep = A* E* (Lstep - L0) / L0

    解析中に、(a)Lstep <= L0 の場合はボルトが緩み、(b)Lstep > L0 の場合、ボルトに張力がかかり、部品は接続された状態のままになります。

    注釈:
    • P: ユーザー定義の軸方向予圧
    • Pstep: 現在の解析ステップにおけるボルトの軸方向荷重
    • A: ボルトの断面積
    • E: ボルトの弾性の材料係数
    • L0: ゼロ応力状態のボルトの元の長さ(微分は、ボルトの予応力保持(Keep Bolt Prestress)オプションの状態によって異なります)
    • Lst: 解析開始時のボルトの長さ(ボルトによって取り付けられた構成部品の変形前のジオメトリ状態に対応します)
    • Lf: 接続部品の初期応力を受けた状態でのボルトの変形長(ボルトの予応力保持が選択されている)
    • Lstep: 現在の解析ステップにおけるボルトの変形長