コンポーネント相互作用(Component Interaction)PropertyManager

コンポーネント相互作用(Component Interaction) PropertyManager を使用して、シミュレーション中に選択した構成部品の動作を制御する相互作用条件を指定できます。

コンポーネントレベルの相互作用はグローバル レベルの相互作用を上書きし、ローカル相互作用設定は構成部品レベルの相互作用を上書きします。 相互作用設定を変更または追加すると、モデルを再メッシュする必要があります。

解析を実行する前に、相互作用ビューア(Interaction Viewer)PropertyManager を使って相互作用(ボンド、接触、フリーなど)の領域を検証できます。

相互作用タイプ

使用できるオプションはスタディタイプによります:

ボンド 選択した構成部品は、シミュレーションでは溶接されているように動作します。
接触(Contact) 選択された構成部品は、それらの初期接触条件にかかわらず、シミュレーション中に互いに干渉することがありません。 シミュレーション中の変形が自分自身への交差が発生するのに十分であったとしても、デフォルトではボディは互いに交差しません。 面 - 面接触式が適用されます。
構成部品の接触(Contact)相互作用オプションは、非線形スタディでは使用できません。 ローカル相互作用(Local Interactions) PropertyManager を使用して、選択した構成部品のジオメトリ エンティティ間に局所接触セットを適用します。
フリー 選択した構成部品は、シミュレーション中に相互に交差することができます。 適用荷重が構成部品の干渉を引き起こさないことが確かな場合以外はこのオプションを使用しないでください。 この相互作用タイプは、既存の構成部品レベルの相互作用を上書きします。
絶縁(Insulated) 選択したコンポーネント間の伝導による熱流を防ぎます。

搭載部品(Components)

  グローバル相互作用 グローバルな相互作用条件を適用するためにトップレベル アセンブリを選択します。 選択した相互作用タイプは、アセンブリのすべての構成部品に適用されます。
相互作用のための構成部品 相互作用条件を指定するコンポーネントを選択します。選択フィルター(Selection Filter)ツールバーにあるソリッド ボディのフィルター(Filter Solid Bodies)ツールを使用して、フライアウト FeatureManager デザイン ツリーまたはグラフィック領域から必要なコンポーネントを選択できます。

プロパティ(Properties)

ボンドのギャップ範囲 ジオメトリ エンティティが結合の相互作用に適するようになるクリアランスを指定します。最大ギャップ パーセント(Maximum gap percent)のデフォルト値はモデルの特性長さの 0.01 %であり、 デフォルト オプション(Default Options) > 相互作用(Interactions) で指定されます。このしきい値よりも大きなクリアランスを持つ構成部品は、構成部品レベルでボンドされません。デフォルトの最大クリアランスは、ユーザー定義の値で上書きすることができます。

ゼロではない非常に小さい値を最大クリアランスに入力して、カーブした一致するジオメトリが接合するようにします。

結合を適切に適用するには、小さな公差で指定されている最大ギャップを増す必要がある場合があります。相互作用(ボンド、接触、フリーなど)の領域を検証するには、相互作用ビューア(Interaction Viewer)PropertyManagerを使用します。

最小ギャップを計算(Calculate minimum gap) このツールは、相互作用の構成部品(Components for interaction)で 2 つの構成部品を選択し、ボンド接触を適用する場合に使用できます。

選択した 2 つの構成部品間の最小距離を計算します。

シェル エッジからソリッド面/シェル面とエッジのペアへのボンドを含む(遅く)(Include bonding from shell edge to solid face/shell face and edge pairs (slower)) ボンドの許容クリアランス内にあるエッジのペアに対して、エッジ間ボンド接触セットを作成します。
ボンドに適したシェルまたは板金ボディの有効なエッジ ペアは次のとおりです。
  • 直線、平行、非干渉のシェル エッジ(または一定の公差内でほぼ平行)。
  • 半径が等しく、同心で干渉しない円形エッジ。
  • 1 つのソリッド面またはシェル面(平坦または円筒形)にボンドされたシェル エッジ(直線または円弧)。
接触を考慮するギャップ範囲: ジオメトリ エンティティが接触条件を満たすクリアランスを指定します。 デフォルト オプション(Default Options) > 相互作用(Interactions)で指定されたデフォルト値は、モデルの特性長の 10% です。
ギャップが次の場合に領域を安定化します: 小さな剛性を適格領域に適用して、ソルバが不安定性の問題を解消し、シミュレーションを開始できるようにします。 ソフトウェアは、初期クリアランスがモデルの特性長の 1% のしきい値内である構成部品に接触安定化を適用します。

許容クリアランスをカスタマイズして、モデルによりよく適合させることができます。

摩擦係数 選択した構成部品の静摩擦係数を指定します。 摩擦係数の許容範囲は 0 ~ 1.0 です。

静的摩擦力は、接触する位置で生成される垂直力に、指定された摩擦係数を乗算することによって計算されます。 摩擦力の方向は動く方向と反対です。

応用

ボンド(Bonded)相互作用タイプで使用可能)。

接触境界間に共通の節点を適用 選択した構成部品の接触境界にメッシュ連続を適用し、構成部品を 1 つのボディとしてメッシュ分割します。 このオプションは、曲率ベース メッシュと標準メッシュのみでサポートされます。
ボンド定式化 独立してメッシュする構成部品のボンドの定式化を指定します。

面-面

このオプションの精度は高くなりますが、速度は遅くなります。 2D 簡略化スタディでは、ソルバは、エッジ‐エッジ ボンドを適用します。

点-面

複雑な接触サーフェスを含むモデルを解決するときにパフォーマンスの問題が発生する場合は、このオプションを選択します。 2D 簡略化解析では、節点‐エッジ ボンドが適用されます。

構成部品レベルの相互作用の定義

構成部品レベルの相互作用を使用して、選択した構成部品のデフォルトのグローバル相互作用タイプ(たとえば、グローバル ボンド条件から接触相互作用)を変更できます。 構成部品レベルの相互作用により、グローバル レベルの相互作用は上書きされます。

選択した構成部品の相互作用タイプを指定するには:

  1. Simulation スタディ ツリーで接合部(Connections) アイコンを右クリックし、コンポーネント相互作用(Component Interaction) を選択します。
  2. PropertyManager で、必要な相互作用タイプ、ボンド(Bonded)接触(Contact)フリー(Free)のいずれかを選択します。
  3. 構成部品(Components) で、フライアウト FeatureManager デザイン ツリーから必要な構成部品(部品またはボディ)を選択します。
  4. 接触(Contact)相互作用では、摩擦係数(Friction coefficient)を指定できます。
  5. をクリックします。
    メッシュ分割後に相互作用条件を変更したり、新しい相互作用条件を追加したりすると、エラー アイコン メッシュ(Mesh)アイコンの隣に表示されます。 スタディを実行する前に、モデルは自動的に再メッシュされます。

接触熱抵抗

電流の流れと熱の流れの類似点(analogy)を有用すると、二つの伝導媒体の界面上の熱伝達を表現する際にとても有効です。機械加工の限界のために、2 つの固体表面を押し付けても決して完全な接触は形成されません。表面の凹凸のために、接触している 2 つの面の間には小さな空気の隙間が必ず存在します。

接触している 2 つの面の間の界面を通した熱伝達には、2 つのモードがあります。 1 つは、固体間の接触点を通した伝導(Q伝導)で非常に効率の良い伝導です。 もう 1 つは、気体で満たされた隙間を通した伝導 (Q隙間隙間) で、熱伝導率が低いために非常に効率の悪い対流です。 熱接触抵抗を処理するために、下の図のように両端に伝導媒体による直列の界面コンダクタンス hc を配置します。

コンダクタンス hc は、対流熱伝導率と似ており、単位(W/m2 ºK)も同じです。ΔT を領域 A の界面上の温度差とすると、熱伝導率 Q は Q = A hc ΔT で与えられます。電気と熱の類似性を利用すれば、Q = ΔT/Rt と書くことができます。ここで、Rt は熱接触抵抗であり、Rt = 1/(A hc) で与えられます。

界面コンダクタンス hc は以下の要素に依存します。

  • 接触している面の表面仕上げ。
  • 各面の材料。
  • 面を押し付ける圧力。
  • 接触している 2 つの面の間にある物質。

下の表は、標準的な表面仕上げと中程度の接触圧力(1-10 atm)における界面コンダクタンスの代表的な値を示しています。記述がない限り真空ではありません。

熱抵抗、RX10-4 (m2.K/W)
 
接触圧力 100 kN/m2 10,000 kN/m2
Stainless Steel 6-25 0.7-4.0
Copper 1-10 0.1-0.5
マグネシウム 1.5-3.5 0.2-0.4
アルミニウム 1.5-5.0 0.2-0.4

下の表は、真空状態における金属界面の熱接触抵抗を示しています。

接触している面 コンダクタンス(hc)(W/m2 ºK)
鉄/アルミ 45,000
銅/銅 10,000 - 25,000
アルミ/アルミ 2200 - 12000
ステンレス鋼/ステンレス鋼 2000 - 3700
ステンレス鋼/ステンレス鋼 (真空) 200 - 1100
セラミック/セラミック 500 - 3000

接触熱抵抗 - 例

エレクトロニクス産業の分野では、チップは通常、エポキシの薄層によって基板に接合されます。この技術は、他の産業でも使用されています。エポキシ層を独立した部品としてモデリングするには、要素サイズを非常に小さくすることが 必要な場合がありますが、こうすると、必要以上に要素数の多いモデルになってしまったり、 場合によってはメッシュ作成に失敗します。

エポキシ層によって生じる熱抵抗を考慮する際に、モデリングやメッシュ作成を行う必要はありません。接触熱抵抗は、面対面接触条件の1つとして設定されます。総抵抗、または単位面積あたりの抵抗のいずれかを指定できます。

接触熱抵抗の設定(Modeling Thermal Contact Resistance)

接触熱抵抗の設定には、2つの方法があります:
  • 幾何形状を作成する際、エポキシの薄層を無視します。つまり、実際には薄層によって切り離されている2つの部品の面が、 モデルでは接触することになります。
  • 幾何形状を作成する際、エポキシ層を考慮します。この場合、熱接触の2つの面の間にはギャップが生じます。この方法を用いる場合には、次の2つの点に注意してください。
    • 2 つの接触面の間の距離が周囲にある要素サイズ以下のときに、結果は最も正確になります。次に示す例では、結果が不正確になる場合があります。

    • 必須ではありませんが、 熱接触面を適切に定義するために2つの面を離すと、 精度を上げることができます。

  • 大きな面といくつかの小さな面の間に異なる熱抵抗を指定するには、まず大きな面を小さな面に分割してから、それぞれのペアに対して熱接触抵抗を指定します。

接触熱抵抗の定義

熱抵抗接触の定義:

  1. 熱伝導解析で接合部 (Connections)を右クリックし、接触セット(Contact Set)を選択します。
    接触セット PropertyManager が表示されます。
  2.   タイプ(Type) を熱抵抗(Thermal Resistance)に設定します。
  3. セット1の面、エッジ、頂点 で、1 つ以上の構成部品に関連付けられている使用するエンティティを選択します。
  4. セット 2 の面 で、使用する面を別の構成部品から選択します。
  5. 熱抵抗 を選択し、次のように実行します:
    1. 使用する 単位 を設定します。
    2. 合計 または 分布 を選択し、値を入力します。
  6. 詳細設定 で、点-面 または 面 -面 を選択します。
    点-点 オプションでは、接触面の接続された節点は同じ温度になるため(完全な伝熱作用)熱抵抗は指定できません。
  7. をクリックします。