疲労解析

載荷と除荷を繰り返すと、発生した応力が応力限界よりはるかに小さくても、時間とともに物体が弱くなって行くことが観察されています。この現象は疲労として知られています。応力変動の周期ごとに、物体は少しずつ疲労して行きます。周期が重なって疲労が限界を超えると破壊に到ります。疲労は、多くの物体、特に金属製の物体の破壊の主要原因です。疲労が原因の破壊の例として、回転盤、ボルト、飛行機の翼、消費者製品、海上作業台、船、車の車軸、橋、および骨が挙げられます。

線形および非線形の構造解析スタディは、疲労解析による破壊の予測は行いません。これらの解析では、指定された拘束および荷重条件下でのデザインの応答を計算します。解析の仮定に準拠し、また算出された応力が許容される限界に至らない場合は、その荷重が何度適用されても指定の環境下ではデザインは安全であるという結論が導かれます。

疲労スタディを定義することのベースとして、静解析スタディ、非線形スタディ、時刻歴線形動解析スタディの結果を使用することができます。ある場所での疲労による破壊に至るまでの載荷サイクルの数は、材料と応力変動によって左右されます。特定の材料の場合、この情報は、SN カーブと呼ばれるカーブにより提供されます。

疲労が原因で発生する破壊の段階(Stages of Failure Due to Fatigue)

疲労が原因の破壊は、次の三段階で発生します。

段階 1 亀裂が部品内に発生します。亀裂は部品内のどこにでも発生しますが、比較的応力変動が高い境界面によく発生します。亀裂の発生原因は様々です。材料の微細な構造における欠陥や工具や操作により生じた表面の傷などがこれに含まれます。
段階 2 荷重の持続によって、亀裂のいくつかまたはすべてが進行します。
段階 3 破壊が発生するまで、そのデザインの荷重に耐える力が弱まって行きます。

疲労亀裂は部品の表面から始まります。部品の表面を強化することによって、疲労イベントでの部品の寿命を延ばします。