すべての構造物は、ある周波数(振動数)で振動する傾向があり、その周波数(振動数)を固有振動数といいます。各振動数にはモード形状と呼ばれる一つの形状が付随します。 モード形状とは、構造物がその振動数の下では、そういう形で振動するだろうという形状のことです。
構造物が固有振動数のどれか一つと一致する動的荷重で加振されると非常に大きな変位と応力が生じます。この現象は共振現象として知られています。非減衰系では、共振は理論的に無限運動を引き起こします。しかし、現実には、減衰が存在するので、共振荷重に対しても、ある大きさに収まってしまいます。
設計オブジェクトが動的環境(dynamic environments)にある場合、応答評価に静解析スタディを使用することはできません。固有値解析スタディは、共振による問題を回避し、振動絶縁システムを設計するための手掛かりとなります。また、線形動解析システムの応答評価に必要なベースを作成できます。そこでは、動解析環境に対するシステムの応答が、解析スタディで考慮されるモードの影響の合計と同等であると仮定できます。
一部のデバイス設計では共振が必要となります。
現実のモデルは無限の固有振動数を持ちます。ただし、有限要素モデルは、モデル内に考慮された自由度と同じだけの有限個の固有振動数を持ちます。多くの目的において、必要とされるモードは最初の幾つかのみとなります。
固有振動数と対になるモード形状は幾何形状、材料特性、支持条件に依存します。固有振動数とモード形状を計算する固有値解析は、モーダル解析、周波数解析、ノーマルモード解析とも呼ばれています。
ビデオ:サンプル モード形状 (2 つの短いエッジに沿った単純支持が行われている矩形板の最初の数モードについてのアニメーション)。
固有値解析での静荷重の影響(Effect of Loads on Frequency Analysis)
通常、モデルの形状を作成するときは、モデルの元(変形前)の形状を基本にします。構造体自身の重さのような荷重は常に存在するため、それが構造体の形状やモード特性に重要な影響を与える可能性があります。発生する偏差が小さい場合が多いため、この影響を無視することができます。
荷重は、物体の固有モードに大きく影響します。一般的に、圧縮力荷重は固有振動数を減少させ、引張り荷重は増加させます。これらのよい例として、バイオリンの弦があります。弦は引張り荷重に変化をつけ、周波数を変更しています。 引張りが高いほど、周波数(音)は高くなります。
固有値解析スタディでは、荷重を定義する必要はありませんが、定義した場合はその影響が反映されます。
荷重による影響を固有値解析で考慮するためには、直接スパース ソルバを使用する必要があります。ソルバのオプションが自動(Automatic)に設定され、また固有値解析スタディで荷重が定義されている場合は [直接スパース(Direct Sparse)] ソルバが使用されます。
動的荷重
動的荷重と基礎励振に対する応答を計算するには、線形動解析スタディを使用します。
線形動解析スタディでは、計算が応力のないモデル状態に基づくため、共振周波数とモード形状における荷重の影響は考慮されません。 モデルのモデル特性を変更するすべての考えうる応力硬化や応力軟化効果を考慮するより、非線形動解析スタディを定義することを推奨します。