ある物体に荷重を加えると、その物体は変形して、荷重の影響が物体全体に伝わります。荷重の影響を吸収するために、物体に内力が生じ、支持点には外力に釣り合うように反力が生じます。線形静解析は、荷重の影響下における変位、ひずみ、応力、および反力を計算します。
線形静解析では以下を仮定しています:
静的仮定
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すべての荷重は、最終の大きさになるまで、ゆっくりと、そして少しずつかけられます。 最大強度に到達後、荷重は一定に保たれます(時間不変)。 この仮定によって、加速度と速度が無視できるほと小さいために慣性力と減衰力を無視することができます。 考慮しなれけばならない慣性力と減衰力を生じる時変荷重に対しては、動解析を使用する必要があります。 動的荷重は時間とともに変化して、多くの場合、無視できない慣性力と減衰力を生じさせます。
- 静的仮定が成り立つかどうかの確認は重要です。なぜなら、同じ大きさの荷重でも、動的荷重は静的荷重よりも最大 1/(2x) 倍の応力が生じるからです。ここで、x は粘性減衰比です。 5% の軽い減衰では、動的応力は静的応力の 10 倍以上になります。 ワーストケースシナリオは共振時に起こります。 動解析(Dynamic Analysis)を参照してください。
- 静解析は、荷重が時間変化しないため、一定速度で回転している物体または一定加速度で移動している物体の構造応答の計算に使用することができます。
- 動的荷重に対する構造応答を計算するには、線形動解析スタディあるいは非線形動解析スタディを使用します。動的荷重には、振動荷重、衝撃、衝突、およびランダム荷重があります。
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線形の仮定
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荷重と応答値の関係は線形であるとします。たとえば、倍の荷重を加えると、そのモデルの応答(変位、ひずみ、応力)も倍になります。次のような場合に線形の仮定を作成することが出来ます。
- モデルの材料がフックの法則に従っている場合。つまり、応力がひずみに比例している場合。
- 生じた変位が十分小さく、荷重による剛性変化が無視できる場合。
- 荷重を加えている間に境界条件が変化しない場合。荷重は大きさ、方向、分布が一定でなければなりません。モデルが変形中に変化してはなりません。
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