細いモデルは、軸荷重に対して座屈しやすい傾向があります。座屈とは、外荷重に変化が無い状態で、面内にたまった軸方向エネルギーが曲げエネルギーに変換された時、突然生じる変形のことをいいます。数学的には、座屈がおきるときは、剛性が特異になります。ここでの線形座屈解析は、臨界座屈係数と、関連した座屈モード形状を求める固有値問題を解きます。
荷重のレベルに応じて、モデルが座屈する形状も異なります。座屈する際にモデルがとる形状が座屈モード形状と呼ばれ、その際の荷重が限界荷重あるいは座屈荷重と呼ばれます。座屈解析では、座屈ダイアログ ボックスで指定した要求に従い、モデル数が計算されます。設計者は通常、最小(臨界)座屈荷重に関連したモードに関心があります。座屈が重要な設計ファクターである場合には、複数の座屈モードを計算することでモデルの弱いところを見つけるのに役立ちます。モード形状は特定のモードでの座屈を防止するためにモデルや支持構造を変更する際に参考になります。
座屈後の挙動をより厳密に追求するには、非線形設計解析基準を用いる必要があります。
どんな時に座屈解析が必要か?
細長い構成部品からなる華奢な構造物は、軸方向に荷重を受けると、比較的小さな軸荷重であっても座屈します。そのような構造物は、応力が臨界応力よりはるかに低いレベルであっても座屈して壊れてしまう場合があります。この様な構造物では、座屈荷重が最も重要な設計ファクターになります。ずんぐりとしたモデルでは、応力による破壊の方が早く起こるため、通常座屈解析は必要ありません。