非線形問題では、構造体の剛性、加えた荷重、および境界条件が変位の発生によって影響を受けます。構造体の均衡は、推測的な現在の構成の中で確立されなければなりません。均衡経路に沿ったそれぞれの均衡状態において、連立方程式の解が非線形になります。そのため、直接解くことは不可能で、反復法が必要になります。
非線形解析を実施するためのさまざまな方法が考案されてきました。線形問題とは対照的に、単一の方法ですべての問題を解くことは極めて困難です。解析者が、手近にある特定の問題の正解を得ようとして、複数の解析手順を試したり、ある確実な手順を選択したりすることがよくあります(たとえば、フレームとシェルの「スナップ スルー」座屈問題には、荷重を制御する増分法よりも変位や弧長を基準に変形を制御する増分法が必要です)。
こうした理由から、非線形解析に用いられるコンピュータ プログラムは、広範囲の非線形アプリケーションに対応するための複数の代替アルゴリズムを持たざるを得ません。このような方法で柔軟性が高まれば、解析者は特定の問題の解法に対する信頼性と効率性を手に入れることができます。
時間カーブの概念(Concept of Time Curve)
非線形静解析における荷重は、「時間」カーブに沿って段階的に加えられます。時間カーブは、解析ステップ中の荷重や拘束条件の変化量を規定します。時間に依存する材料特性(クリープなど)を持つ非線形動解析と非線形静解析の場合は、「時間」は荷重の適用に関連付けられた実時間を表します。
「時間」ステップ サイズの選択は、問題と解析手順の非線形性のレベルなどの複数の要因に依存します。コンピュータ プログラムは、分析を容易にして、解析コストを削減するために、適応型自動ステップ アルゴリズムを装備する必要があります。